山崎ハコが「飛びます」で鮮烈なデビューをして数年、
まだ新宿の厚生年金会館を満員にできるほどの人気があった頃に出されたのが、
この「茜」だ。
メロディや詩には、それまでのハコのアルバムと大きな違いはない。
しかし、当時流行し始めていたシンセサイザーを使い、
新しい世界を模索したところが、このアルバムの特長。
このアルバムは決して失敗作ではなかった。
しかし、「ネクラ」という言葉が流行語になり、
その代表として山崎ハコが取り上げられたりして、
ハコは少しずつ時代から取り残されて行くようになる。
LPレコードのA面トップの「夕陽のふるさと」、
B面トップの「何度目かのグッバイ」。
私はこの2曲は、いわばハコ円熟期の名曲だと思っている。
ただ山崎ハコはすでにこの頃、自分が時代から取り残され始めていることを
感じていたのではないだろうか。
B面4曲目の「さらば良き時代」を聴くたびにそう思う。
いずれにせよ、初のCD化である。デビュー当時からのファンとしては嬉しい限り。
また、ずっと後になってハコを聴き始めた人にも、ぜひ聴いて欲しい1枚だ。
次は初期の名盤「流れ酔い唄」、「茜」と同じ頃にリリースされた「歩いて」。
これらのCD化を切望する。
「流れ酔い唄」に収められている曲は、たいていが「ベストアルバム」に入っているが、
やはり1枚のアルバムで聴いてみたい気がする。