由緒ある家柄で働かずとも日々が過ごせる大金持ちの御曹司とその庭師との愛の物語。設定はBL界で使い古された御伽噺のようだけど、この物語は、実はとてもリアルな愛の本質を問う刹那な物語だと感じました。それは作者が、主人公たちのデテールやセリフを丹念に描いているからこそ成立しているのだと。生まれたときから選ばれた世界の住人である茅島氏は、独特な特異さを持っていますが、とても人間的。庭師である彼の愛が得られないなら、自分が持っているお金や影響力など意味をもたない、自分は何も持っていない人間だと本気で自己否定をしている。だからこそ、計算のない実直さで、庭師の彼に向き合い、愛し、そして彼を欲します。茅島氏も庭師の彼も、とても人間くさく、読み手が感情移入できると。世界観を堪能できるとお勧め!タイトルの「茅島氏の優雅な生活」の「優雅」は、恵まれた環境云々では無く、生まれて初めて自らが欲し愛する庭師と共にいられる日々。立場の違い、価値観の違い、そういった種々のすれ違いはあれど、それさえ厭わず愛しいものにできる茅島氏。彼にとってのその日々は、やはり何にも代えがたい「優雅」なもの。このタイトルが意味するのは、そこではないかと感じました。が、ふと思ったんですが、愛する人に渾身を捧げ愛し愛されたいと願う日々・・・。優雅を通り越してなんて贅沢な!日々に磨耗されている人間としては、やっぱり金持ちはいいなぁと、つい思ってしまう。そういうことじゃないんですよね、ごめんなさい、茅島さん。