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英雄たちの朝 (ファージングI) (創元推理文庫)
 
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英雄たちの朝 (ファージングI) (創元推理文庫) [文庫]

ジョー・ウォルトン , 茂木 健
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

1949年、英国とナチスが講和条約を結んだ世界。和平に尽力した権力者の館で、議員の不可解な死体が発見された……。壮大な歴史改変エンターテイメント三部作、第一弾登場!

内容(「BOOK」データベースより)

1949年、副総統ルドルフ・ヘスの飛来を契機に、ナチスと手を結ぶ道を選んだイギリス。和平へとこの国を導いた政治派閥「ファージング・セット」は、国家権力の中枢にあった。派閥の中心人物の邸宅でパーティーが催された翌朝、下院議員の変死体が発見される。捜査にのり出したスコットランドヤードのカーマイケル警部補だが―。傑作歴史改変エンターテインメント三部作、開幕。

登録情報

  • 文庫: 464ページ
  • 出版社: 東京創元社 (2010/6/10)
  • ISBN-10: 4488279058
  • ISBN-13: 978-4488279059
  • 発売日: 2010/6/10
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 145,175位 (本のベストセラーを見る)
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8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By hamachobi トップ500レビュアー VINE™ メンバー
形式:文庫
第二次世界大戦のときにナチスドイツとの和平を選んだイギリスを舞台に、その講和条約を締結した立役者である下院議員の殺人事件を描く。

一見、歴史改変的設定の本格推理小説の装いをしてはいるが、実は、もっと深い。ナチとの和平という選択をしたイギリスが、どのようにファシズムに染まっていくのか、ユダヤ人迫害へと進んでいくのか、という有り得べき歴史の壮大な思考実験の感がある。
ミステリとしてはあまり謎解きの要素はなく、物足りないし、事件の結末は納得がいかないところもあるだろうが、むしろ、この小説が単なるミステリにとどまらない証左でもある。

著者の描写には、著者自身の政治的信条、歴史観も見え隠れするが、それに対して、賛成する人でなくても、どのようにして、私たち民衆は、自ら進んでファシズムに取り込まれていくのかという点について、深く考えさせられるだろう。
作中でジョージ・オーウェルと思しき作者の『1974』という小説も題名だけだが出てきて、この小説、おそらくはこの三部作がディストピア小説として描かれていることの象徴のように感じた。

舞台であるイギリスの歴史や人物について、もう少し知識があれば、もっと楽しめたと思うが、幸い、詳しい訳注もついているので、参考にしながら読んだ。

主人公であるスコットランドヤードのカーマイケル警部補も魅力的に描かれている。
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9 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 ファシズムへの前奏曲――それは、初夏のイギリス南部の美しい田園風景の中で、静かに奏でられ始めます。いや、本当はもっと前からあちこちで奏でられ始めていたのですが殆どの人は気付かず、架空の1949年5月、後に親独派が権力を掌握する最終段階で行なったと判明する或る殺人事件が某大邸宅で起きます。最初はそこの主人や泊りのパーティー客や使用人達からの聴取がポワロ物っぽい雰囲気で行われ、当然読者は真犯人は誰だ?と気が急きますが、これは推理小説の形を取ってるものの、意外な犯人捜しや巧妙なトリックetc.を楽しむのがメインの軽い娯楽小説ではありませんので、念のため。
 小説の構成は、事件の舞台となった大邸宅が実家の女性と、スコットランドヤード警部補の視点で、交互に語られる形を取っています。(もっと詳しく述べると、前者は一人称による回想、後者は警部補を主人公とした現在進行中の物語。)この巧みな作りは、忍び寄るファシズムの気配や、気が付いた時には手遅れとなる恐さを、効果的に表しています。
 読了後、ドイツのニーメラー牧師の有名な次の一節、「最初彼等はユダヤ人を連行しに来たが、私はユダヤ人ではないので声高に反対しなかった。次に彼等は共産主義者を連行しに来たが、私は共産主義者ではないので声高に反対しなかった。それから彼等は労働組合員を連行しに来たが、私は労働組合員ではないので声高に反対しなかった。そして彼等は私を連行しに来たが、その時にはもう、私のために声高に反対してくれる人は一人も残っていなかった。」を思い出しました。仮に、この小説で描かれているようにイギリスがドイツと講和条約を結び、植民地は温存され、アフリカのフランス領も英独で分け、米国参戦がなければ、21世紀の今、巨大な米国はなく、斜陽とは言えまだまだ大英帝国はパワフルだったのでしょうか。しかし、ジョンブル魂はどこへ行った?、という事になったでしょうね。イギリスとドイツが手を結んだ場合、ドイツがイギリス化する可能性はなく、イギリスはドイツ化(全体主義化)の方向へ行くのが、リアル且つ無気味。――現実に起きた歴史は一つですが、それ以外の可能性について色々考えさせられました。
 全ての方にお勧めしたい本です。そして、これはまだ導入部ですので、是非次の第二部に進んで頂きたいと思います。
 (映画『日の名残り』などが好みの方には、特に。ディテールが丁寧に描き込まれているので、風景や大邸宅の様子から衣装・ティーカップに至るまでよく出来た映画を鑑賞しているかのように楽しめました。)
 最後に、素晴らしい翻訳である事を付け加えておきます。
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7 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
ナチス・ドイツと講和したイギリスを舞台にした歴史改変三部作の第一作目。

二次大戦を契機にした歴史改変もので、ユダヤ人問題と聞くとユダヤ警官同盟が思い浮かぶけど、あちらよりも普通のミステリ寄り(に見える)。
戦争を終わらせた最大の権力者たちとその屋敷という定番の設定で、権力者一族でありながらユダヤ人と結婚した女性と敏腕警部補の狭い視点で交互に語られるため、改変ものの醍醐味である現実とのギャップはあまり楽しめない。
しばらく読んでいて、これは単に改変世界を舞台にしただけのミステリなのかと思いきや、後半から個人の奮闘などどうにもならない、真実も法律もねじ曲げる強大な権力が見え始め、ドイツとの和平は前座に過ぎない、さらにグロテスクな改変を、主人公同様に実感することになる。
最もわかりやすい改変の『一九七四』は、イギリスにとっての終戦が早まったことによって、こちらも10年早くなったのかもしれないが、それより何年も早くビッグ・ブラザーの支配が始まることを暗示する重苦しい結末。
ナチスはまだソ連と戦争を続け、おそらく、日本も軍国主義を維持したまま歴史が進んでいるように見える。イギリスだけでなく、世界はどう変貌していってしまうのか、光明は差すのか、それとも暗黒の未来が待っているのか。
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