単語の意味にとどまらず、背景にある知識や状況などの語用論的な情報をふんだんに取り入れた新しい辞書。
例として、"very good"を取り上げよう。この表現は、単語の意味だけで考えると、「とてもよい」という解釈になるが、使用される状況によって様々な意味(機能)を持つ。
この辞書では以下の三つに分類し、それぞれの用法を詳述している。
(1)承諾を表す
"Xerox this paper, please."(この書類をコピーして下さい) "Very good." (かしこまりました)
(2)同意(同調)する
<<孫の合格通知を聞いて>>"Very good. I'm awfully happy to hear that. ..." (よかったわね。うれしいわ)
(3)皮肉で用いる
<<母親に友人の合格の知らせを聞いた息子が>>"Very good. But what about it? ..." (よかったじゃないか。だから何なの?)
注目すべき特徴は、用例の前に<< >>で提示された文脈情報である(上記(2), (3))。これは「文脈」を辞書に取り入れる新しい試みであり、これによって上記のvery goodのような単純な表現でも多角的な記述が可能になっている。また、具体的な記述を与えることで読者の例文の意味理解を助けているといえる。
語義の記述は群を抜いて詳しい。例えば、After you.はふつう「お先にどうぞ」の意味でしか記述されていないが、本辞典では4つに語義が分類されており、「4. <躊躇して>後でいいです」などの用法は手元の主要な辞書(OALD7, LDOCE5, ジーニアス、ウィズダム、オーレックスなど)では言及されていない。知っている表現を調べても新しい発見があるだろう。また、例文の多くは対話形式になっており、単文形式よりも情報量が豊富で、すぐにでも実践で使えるものが多い。さらに、和英索引と購入者にはオンラインで引ける形式(Dual辞典)でも提供されており、辞書の検索性の向上に一役買っている。
英語を深く学びたい人には必携の一冊だろう。