良書。語彙、発音、文法、綴りなど扱う内容は多岐にわたるが、さりげなくも、非常にツボをついた話題選択がなされており、何度「へ〜」と思ったか知れない(ちなみに私は、過去に類書――たしか『英語を学ぶ人のための英語史』という本だったと思うのだが――を読んで英語の歴史的な経緯をおおまかに覚えていただけの素人)。「主張」や「思い」をこめた本も世の中に多く存在するが、本書のように事実を丹念に追う本もやはりいいなあ、知らないことを知るのはやはりいいことだなあと素朴に思い返したりもした。私が面白く思ったことの一部を紹介。
●9世紀にデーン人侵入に苦慮したアルフレッド大王がデーン人と条約を結んで、デーン人が自分たちの法律で統治できる地域を指定。Derby,Rugby,Whitbyなど-by(北欧語で「町」の意味)がつく地名が今も600以上あるのはその名残。またAndersonとかJohnsonなどといった-sonという名前も北欧起源で、「〜の息子」の意味(父称)。
●助動詞doを使った疑問文や否定文は、(語形変化消失の代償として固まった)「SVO」の語順保持の傾向と相まって発達(have you 〜?ではなくdo you have 〜?にすればSVOの順は失われない)。
●ジュリエットがロミオを呼ぶときの二人称は最初you(当時は敬称)の系列を使っていたが、途中から親しい呼び方thouの系列で呼ぶように変わったこと。
●mayやcanが、「可能」から「許可」をへて「軽い義務」をあらわすようにもなっていること。
●大母音推移のこと。
こまごまとしたことを含めて面白かった点を全部書くとたぶんこの20倍ぐらいになると思う。以上これから読む一助になれば幸いです。