この本は、学習文法の5文型の持つ有用性を十二分に尊重しながらも、その欠陥を、様々な知見をもとに、体系的にまとめあげてくれた学術書です。同じ著者による『現代英文法講義』(2005)の「文型」を、さらに充実させた内容となっています。
本書を数回読んで感じたことは、内容が非常に高度であるにもかかわらず、(門外漢にも)実に分かりやすいコトバで説明してくれているという点が、まず、挙げられます。つまり、書き方が親切なんですね。
さらに、随所に教師としての心構えを示してくれている、安藤先生の心配りが、とても嬉しい。たとえば、「文型というものは初学者向けのものであって、実用的でなければ意味がない」(p.40)とか、「そういう言語的環境を見出すことも、研究者のつとめの一つである」(p.52)、「生徒にものを突き詰めて考える訓練を与えない教育は、教育の名に値しないのである」(p.147)などという言葉は、教師や研究者が、常に心がけておかなければならないことではないでしょうか。ペダンティックに陥りかねない私などは、肝に銘じておかなければ、と思ってしまいます。
現場の教師であるならば、一度はじっくり眼を通すべき書物と言えるでしょう。
最後に、感謝の意味を込めて、気がついた誤植をいくつか。p.106NBの「次節」は「本節」では? また、p.162「トラックー杯」の「ー」は「一」の文字バケ。p.186準主「格」補語は、安藤先生の著書ですから、準主「語」補語でしょう。