語学の習得に近道はない。
それでも英語に関する限り、「CDを聞き流すだけでネイティブ並みに話せる」「これだけ覚えてTOEIC900点」といった英語本が後を絶たない。義務教育から数十年、何らかの形で英語に触れ続けてきたはずなのに、簡単な思いを伝えることすらままならない。。。そんな現状へのフラストレーションが、こうしたお手軽本を手に取らせるのだろう。
本書のアプローチはその真逆である。
半世紀以上に渡って日英通訳の第一線で活躍し、数多くの後輩を育ててきた著者の英語教育論は極めて現実的で、「秘策」などは一つも出てこない。通訳者といえば英語をペラペラ話せる代表格と思われているのに、「大きな声で堂々と話す」のが重要であって、「細かい発音を気にする必要はない」などと言う。リスニングやシャドーイングがもてはやされる中、「なるだけたくさん英文を読むこと」を勧める。
帰国子女ではない著者が、少しでも英語力を高めようと長年努力してきた結果、得られた「確信」がこの本には詰まっている。
最後まで読み終える根気すらないようなら、英語習得は今度こそ諦めたほうがいいかもしれない。