例えば、「田児の浦ゆ うち出でて見れば 真白にそ…」の歌。「真白に」だけならばpure whiteでいいが、驚きと畏敬がこもった「真白にそ」を表現するため、white, pure whiteと訳した。「あをによし 奈良の京は 咲く花の にほふがことく 今盛りなり」という歌では、「今盛りなり」の訳語に花と同じ語源を持つflourishを選んだ。自然の美しさ、明るさを比喩に、自文化をおおらかに主張する原作の雰囲気を上手に伝えている。
英語で読むことで、万葉集が描き出す雄大で厳かなイメージが、より一層広がるように感じられる。
(日経ビジネス 2005/02/21 Copyright2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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天皇をおおらかに歌い、豊かな自然に託して恋や悲しみや、人生を歌う。とても洗練されたセンスのある表現者たちのわざから当時の日本人たちがすでに現代人と変わることのない、普遍的ともいえる力、感性を持っていたことが伺える。
ときおりどきりとするようなエロスやはっとするような力強い表現を発見し、心地よく打ちのめされるかもしれない。中国と日本を行き来するスケールの大きな視野を持った米国人の著者のおかげで、その驚きを日本語と英語の両方で体験できるのだ。この一冊は。
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