英語が、英語を母国語としない人たちがコミュニケーションを行う場合の公用語になっているという点を説明し、グローバリゼーションの中で生き抜くための英語力とコミュニケーション能力の説明に重点を置いている本である。注意を要するのは、本書でTOEIC900を目指すというようなところには目標を置いていない点である。実際この著者は、英語でのセミナーは数多くやってきたが、英語を教えるトレーニングはやったことがないという。ただし、TOEIC600点程度では英語でビジネスを行うための基礎英語力が十分ではない可能性があるので、そのような人はまずしっかり基本を固めることを奨励してはいる。
常に論理的に話をすること、説明の手間を惜しまないこと、自分からすぐ挨拶して積極的にコミュニケーションすること、結論→根拠→例→結論を意識すること、会話中に電子辞書を使わずにわからなければ相手に聞くこと、文化的な違いやギャップを理解しておくこと等、いろいろ載っている。国民性の違いによるコンテキストとコンテンツの依存度の違いは、ちょっと面白かった。
一方、英語学習に関しては、特に目新しい内容は無い。文章をいちいち後戻りせずに読むとか、英英辞典を使うとか、英語の雑誌を素早く読めるようになるとか、映画やドラマで覚えるとか。特に内容的に不足が多いとか足りないという程ではないものの、どこの本にもたいてい載っている内容が中心である。したがって、この点に関しては必ずしも本書でなければならないという必要は無いように思われる。
元々外資系企業で働き、アメリカでビジネスを興して長年にわたって多くの国の人たちを相手にしてNHKの講座の講師をもやっていたというだけあって、豊富な経験に基づくエピソードや提言が紹介されている。その点については興味深く読めた。どちらかというと、一定の英語力は備えてこれからビジネスの現場で英語を使って仕事をしていかなければならない人にとってより有意義な内容であるように思う。