こちらも古いBSのVHS録画をDVDダビングしながら見ました。
衣装や舞台装置が豪華で凝った作りなのはロイヤル・バレエ(英国もバーミンガムも)のお得意なところ。
もちろんお決まりのスモークもあります。階段が円形状でポワントを履いて下りるのは大変そうです。
キーロフのセルゲーエフ版より少し削除されている部分や振付も違う部分がありますが、ダウエル版だからといって丸々演出が変わっているわけではありません。
ですが英国バレエは途中で「退屈」にはなりませんでした。子供達が登場したり、バイオリンやマンドリンの小道具も出てこないあっさりした演出だからかも知れません。
カラボスの手下も踊りが上手くてよい版です。ドクロのような感じではありません。
オーロラ姫が倒れてしまう場面で、王妃が嘆いている部分はジゼルの母を思い出します。
眠れる森もそうですが、ジゼル・シンデレラ・バヤデルカ(ラ・バヤデール)・ロメオとジュリエット
は演出や踊り手によって退屈になるか感動するか物凄く分かれてしまう類だと思います。
眠れる森の美女のプロローグはほとんど妖精たちの踊りで終わりますから、私は邪悪の妖精カラボスの存在感を重視しています。解釈により男性または女性の妖精と意見が分かれています。
演出者であるダウエルのカラボスは魅せてくれます。白鳥の湖と同じくマイムが多いのですが、片方は呪いでもう一方は救うというマイムが展開上で必要になってくるので邪魔にはなりませんでした。
カラボスとリラの精とのやり取り、王夫妻への説明場面は分かりやすいです。
惜しいのは、リラの精がプロローグで何度か不安定で危ない箇所があります。瞬間芸術なのでコンディションもあるのでしょうが。
主役のデュランテを写真で見たときはもう少し年齢を重ねていたようなので、この映像はそれより若い時分
だと思います。愛らしい顔立ちではなく大人びた顔なのでどちらかといえば、第1幕の少女より第3幕のほうが似合っていると思います。
でも技術面は素晴らしく、身体もしなやかで3幕のパドドウでの「フィッシュ(王子に挟まれて逆さ向き)」はとても綺麗です。
この版はリラの精がいつまでも登場するわけでなく、出演は第2幕までとなっています。
セルゲーエフ版では第2幕は狩りの合間に的当てをして遊び、ジゼルのような農民が登場して踊りがありますが、こちらは貴族がお茶会をしながら踊っています。
お城のイバラも王子が剣で切るのではなくリラの精が魔法で開け、王子の接吻でカラボスの魔法が解ける設定になっています。
また宝石の精では、女性だけでなく男性も登場しますが男性が踊るバリエーションを女性が踊っています。
アポテオーズ最後に背後の照明中央が真っ赤(ドラゴンフルーツみたいな感じ)になるのですが、白鳥の湖でも用いられていてロイヤルオペラハウスならではの装置かな、と感じました。