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ところで、英国レディとは何か?
ダイアナ妃亡き今、カミーラはいまだに憎まれ役だし、シェリーもレディというより人権派弁護士としての顔のほうが似合う。パパラッチの標的としてポスト・ダイアナを標榜したヴィクトリアも、今ではすっかりベッカムの影に隠れてしまっている。
有る意味理想的な英国レディの宝庫であるヴィクトリア時代に目を向けた著者らの判断は的を射ている。
本書の主役は、英国レディのルーツを代表する「裕福な中流階級の女性」自身というよりもむしろ、彼女やこどもたちを取り巻くヴィクトリア朝の事物である。
彼女たちの主体が、そのような事物によって構成されるという立場から眺めることにより、ウルトラ保守的に見える「賢婦人」、あるいは「家庭の天使」といった概念が単に社会的、政治的に作られたのではなく、文化的、そして物質的にも作られていたのだということがはっきり見えてくる。
本書は、『ヴィクトリア朝百貨事典』と相補的に読まれると、さらに伝統的英国紳士像への理解をも深められる。(項目として重なるのは阿片チンキくらいである。)
また、『私たち、ブルジョワ:フランス上流階級のスタイル事典』と比較参照して読むならば、ヴィクトリア女性のような「家庭の天使」像の延長線上に、今日のフランスにおいて女性の大半が属するといわれるブルジョワ階級のライフスタイルのコアが見え、現代においてなお「古き良き・・・」がかなり良好に保存されていることに驚くだろう。
最後に、児童文学からの多くの引用が、特に児童文学愛好者にはたまらないボーナスとなり、本書の魅力を増しているということを付け加えておこう。
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