イギリス文学者とフランス文学者が、近現代の英仏文学を語り合うという「対戦」(対談)形式の楽しい一冊。全「6回戦」で、オースティン『高慢と偏見』vsスタンダール『赤と黒』という王道の顔合わせに始まり、時代を下りながら、現代のナイポールとウェルベックという対局で締めくくられる。イギリスとフランスというと何かと対立的に捉えられがちだが、そもそも両者がこうして同じ舞台の対戦に上げられることが多いのは、両者に共通するものがあるからであり、それは、18世紀の両地域、いや、両「国」における「国民国家」と「資本主義」(両者とも不可分の関係にある)の勃興が、新たな「人間ドラマ」の素材をもたらしたということにあるのではないかと私は考える。読者は興味を持った章から気ままに読み進めて、本書の世界に浸るのが良いであろう。私自身、既読のバルザック『ゴリオ爺さん』、フローベール『ボヴァリー夫人』、スタンダール『赤と黒』、オースティン『高慢と偏見』(好きな順)についての対談からは新たに学ぶところが多かったし、まだまだ私の知らない広大な未知の世界が開けていることを感じた。そこで新たな挑戦として、今フォースター『ハワーズ・エンド』を読んでいるところだ。(但し、野崎さんの苦手な吉田健一訳で(笑))