邦題のイメージと内容が全く異なっていた。結構重くてシリアスなあらすじ。
アニー(J・シムカス)は、多感な女学生。彼女と同居しているのは、母親と伯母。伯母のジタが、突然脳卒中で倒れ危篤状態になる。アニーと母親は昼間は看護師にまかせ、夜間は交代で伯母を看護する。
日本と、フランスの医療の事情がかなり違うので少しとまどった。救急車を呼ぶのではなく、主治医が往診して治療する。病院に入院しない。今でも救急車の出動は少ないらしいので、医療制度の違いなのかもしれない。
アニーは、愛する伯母の死を目前にし、毎日神経をとがらしていき、周囲にもあたる。シムカスは、何事にも敏感で潔癖な年頃をよく表現していた。
ある晩、彼女は「死」を避けるように、夜の街を彷徨い歩く。「死」への恐怖。愛する者が「死」に至ることを受け入れられない。写真でしか知らない、スペイン内戦の闘士だった父の「死」が、彼女に暗い影を落としている。「死」を日常茶飯事のように軽く話す警察官にも激しく抗議する。学生運動が盛んだった当時の、日本の若者のミューズだったのが少しわかったような気がする。
ラストシーンのシムカスの表情が、すごくよかった。彼女が心身共に「大人」になり、繊細で多感な時代からの成長。「生」の喜び(赤いミニカーが象徴)を知り、誰にもやがて訪れる愛する人との「死」と別れを自然に受け入れたことがわかった。
シムカスは前半の髪を結わえた姿よりも、髪を下した姿の方が断然美しい。
この作品の中で、シムカスはセミヌードを披露していた。画質は綺麗だった。特にこのシーンは一番美しい。
「冒険者たち」しか彼女の作品を観たことがなかったので、この映画は初めての鑑賞。
テーマや話の展開は、若い人には退屈かもしれない。60年代末のフランスやヨーロッパの情勢、ベトナム戦争中の時代の雰囲気やファッションなどにも興味がもてた。