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私の知人で、「いわゆる企業社会・マスコミが描く社会をA面、運動的市民活動的なもの・ミニコミ的なものをB面」と表した人がいます。AとBはコインの表裏と同じで切り離すことはできません。ですがA面世界しか知らない人は、B面世界を胡散臭がったり貧乏くさがったり「現実を知らない」と言ったりするし、逆にB面世界しか知らない人は、A面世界を利己主義的とし殺伐としてロマンがない、と評します。
片岡氏は、元銀員としてA面世界を熟知しつつも市民活動というB面世界で生きている人なのですね。で何よりすごいと思うのは、B面世界で生きながら片岡氏が「食べていってる」ことです。B面に惹かれながらも食べていけないのでA面で生きている人や、B面で食べていきたいけどボランティアで諦めている人には垂涎もの。著者中本千晶さんが片岡氏にインタビューしている後半部分は、A面世界からB面世界への質問に溢れていて読む価値がおおいにあります。
でも、具体的に、食べて行けてる片岡さんの収支のしくみが今一つ見えなかったのが残念でした。(あ、企業秘密? 行間等から読み取るしかないのかな。) それはそうと、片岡さんという人にナマでお会いしてみたいなあ、というのが、この本を読んだ一番の感想です。
「起業」を目指す若者たちの成長する姿やエネルギーに満ち溢れた片岡氏の活動を読むに従って、決してページ数は多くないこの本から、起業、教育、大学、ボランティア、地域、政治、日本、世界・・と果てしなく思考が広がっていきます。
実際に起業を目指す若者たちの参考になるのは勿論ですが、それ以外の若者たちや大人たちこそ読むべき内容なのではないかと感じました。
それはなぜだろう?「俺だって、今、一生賢明生きているよ!」という言い訳を、つい、吐いてしまう自分がそこにいる。ここにでてくる学生たちは、当時の自分を思い起こさせるよりも、今の自分に二重写しに見えてくるのだ。
「自分が人生で何をやりたいのか、ちゃんとまわりの人に説明できますか?」
ここで取り上げられる学生一人一人は、そんなに、特別な子達ではない。だからこそ、少なくとも、その点において、学生たちに頭が下がる。いつのまにか、自分が、磨り減っていることに気がついていないだけかも、、そんな不安を感じて、少し寂しくなってしまうのだ。
この本の著者は、そのことに気がついてしまった。そういう意味で、我々一人一人の『心の中の痛い部分』の代表なのかもしれない。
起業を目指す学生や、悶々とする学生、そしてそれを厳しくも温かく見守る片岡氏を中心とした大人たち。そのライブの空間に、すーっと入っていって、まるで、今そこで演じられている劇の舞台に自分もずーーと居あわせたかのように感じさせてくれる、これはそんな本だ。いつのまにか読者は、著者の目になっている自分に気づくだろう。
そのとき、この本はふと問いかけるのだ「自分を磨り減らせて生きていませんか?」
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