対象年齢は意識的に高校生と想定されており、「長くなってしまったのでここで一息いれてください」と書くなど読者への配慮が見られる。往復書簡形式でありマルクスの四冊の著作について内田と石川の二人が交互に話す形となっている。扱われる著作は「共産党宣言」「ユダヤ人問題によせて」「ヘーゲル法哲学批判序説」「経済学哲学草稿」「ドイツイデオロギー」。初期の20代の頃の著作が選ばれているのが特徴と言えるだろう。「資本論」などの有名な作品が入っていないが、実はこの本はシリーズ化を予定しているそうで後書きでは「一巻はこれで終わりです」とある。つまり残る著作は次巻以降という事になる。そのためと書簡であるという事情もあって、特にまとめもなく、やや中途半端な終わり方をしており「あれ?これで終わり?」という印象も受けたが、これは大した問題ではないかと思う。
石川氏が丁寧に著作の内容を解説し、内田氏はやや本題からズラしながらも軽い語り口でコメントする。話の面白さでは内田氏だが、マルクスを理解するという点から言えば石川氏の書簡を読むだけでも十分意味があるだろう。結果的に二人それぞれが四つの手紙を書き、合計八つの文章がある。私はそこまで難しいとは思わなかったが確かに石川氏の解説は硬い所、徹底して説明的である所もあり、高校生向けと言う程に噛み砕ききれているかは微妙ではある。しかし全体的に難解だという事はなく、むしろ大抵の箇所は高校生くらいなら頑張れば読める程度という印象を受けた。個人的には「経済学哲学草稿」の石川氏の解説から長さとダルさが気になってきたが、もし一気に全て理解できなくても、分かる所から部分的にでも読んでいけばいいだろう。初期マルクスの四つの著作について多少は硬いながらも短めの要約を一気に読む事ができる。これは少しばかり骨が折れても十分な儲けである。
書簡であるせいで無駄な挨拶等があって鬱陶しいという人もいる。確かに書簡である必然性があったとも思わないが、あれはあれで味があるものであるし。脱線などは楽しめないのなら単に読み飛ばせばいいだけかと思う。大変素晴らしいとまでは思わないがマルクス入門には悪くない本。