いきなり他のアルバムの話になるが、レコード大賞で賞を獲った「少年少女」。アマゾンのレビューで私は★4をつけた。
他のレビュアーの方々が絶賛の★5をつける中、私にはどうしてもその気にならなかった。
このベスト盤を聴いてその理由がよりはっきりとした。語弊があるのを承知でいうが中村中は「普通」になってしまった。
いや正確に言うと「普通のこと」を歌う歌手になってしまった。このベスト盤を聴いて私はそう思っている。
歌唱力も、ソングライティング力もあると思う。だけど私が「少年少女」で聴いたのは、質は高いが中身は「思春期の若者の自分探しの旅」の歌でしかなかった。歌詞はどっかで聴いたようなものばかりだった。
というか、今まで幾千幾万の人々が歌ってきたことでしかなかった。「負けない」「強く生きよう」「まっすぐに」「生きるのはつらいことだけど」「私はたった一つの存在」
もー三十も超えて、そういう青年の主張も聞き飽きた私には、正直耳障りな感じさえしちゃうのである。
デビュー曲の「汚れた下着」やヒットした「友達の詩」は、間違いなく、この人にしか歌えない曲だった。
PVを観てもそれを感じる。明らかに作り物の乳房を持ったこのたぐいまれな人は、グロテスクと妖艶とはかない美しさの奇妙なバランスの上に立ち、異彩を放っていた。それはもしかしたら本人の意向とは沿わないデビューだったのかもしれない。
でも私はそういうところに目を引かれ、その行方を追ってきたのです。
次の曲は、次のアルバムはどうなるんだろう。もしかするともう買わないかもしれない。