「性」と「暴力」、「政治」を題材に、絶えず時代を疾走してきたスキャンダラスで過激な映画監督である若松孝二の、極めて「政治的」な作品集。どれも、70年前後、全共闘運動が最も高揚し、そして、70年安保闘争敗北により退潮後、武装闘争を唱え、孤立、尖鋭化していった一部の新左翼セクトとその周辺をテーマにしている“危険”な作品だ。中でも、「天使の恍惚」は、若松が、盟友の足立正生と、日本赤軍の重信房子の招きで、パレスチナに出向き、PFLPと赤軍のドキュメンタリー・フィルムを製作した直後に撮影しただけに、「時代」の過激な空気が充満している。この映画の上映中止に、公安とマスメディアが共闘し、配給元、地域商店街を抱き込み、ATGに圧力が掛かった辺りの話は、若松の自署「俺は手を汚す」や「時効なし」に詳しく述べられているので、興味のある方は、一読をお薦めする。あれから、35年近く経ち、その後、赤軍のスポークスマンとして、アラブに旅立った足立正生は、2000年に強制送還された。“立て看”を見た事すらない学生が殆どとなった今日、かって、日本にもこんな時代があった事を認識させてくれる。それにしても、DVDボックスの、ニュー・デジシネ仕様とは、えらく、「ブルジョワ」的だね(笑)。