ここのところ、新卒者の就職難が報道される機会が目立っている。
若者を中心とした非正規雇用問題も相変わらず改善のめどは立っていない。
これら、日本の雇用をめぐる激震への処方箋について書かれた書物は数多いが、その背景となるデータとなるといささか心もとない。
本書は、それら議論の背景となる統計データから、ひとつひとつ詳細な分析を試みたものである。
通説通りの裏付けとなるようなデータから、意外な面を示すデータまで幅広い。
たとえば、「若年層の雇用は、景気の変動を受けやすい。」というのが、半ば通説のようになっているが、実態は若年層よりも中高年層のほうが景気の変動を受けている。もちろん、新卒一括採用というシステムは維持され、将来の業績予想が企業の採用行動に影響を与えるという分析もなされてはいるが。
現状と課題を読み解くにはよくできている。
ただ、正規と非正規の問題など最終章で若干触れらてはいるものの、これら課題への対策や処方箋まで踏み込んで議論を展開していただければ、さらに深いものとなったのではないか。