「本書の狙いは、読者がストレッチを漫然と行うのではなく、知的に実践するための
理論武装の一冊にしていただくことです。運動生理学やスポーツ医学などの科学的
裏付けを示しながら、教科書的な堅苦しさや専門的な知識の羅列を避け、誰でも気軽に
親しめるような読み物風になるように努めました。また、ストレッチの実技解説では、
さまざまな生活シーンを想定して、いくつかのポーズを組み合わせプログラム化し、
日常に取り入れやすい工夫をしました」。
「重要なのは『柔らかくする』ことではなく、『伸ばす』こと」、「硬い人は硬いなりに、
自分の柔軟性レベルに応じて取り組め」ばいい、というかたちでストレッチのハードルを
日常性の次元に下げようというその意気込みは分かる。
ただし、ストレッチの効果や柔軟性をめぐる「理論武装」においては記述の重複が多く
冗長で、「堅苦しさや専門的な知識の羅列を避け」ようとすることがかえって足かせに
なって、議論をあやふやにしてしまっている感がある。他の研究の中途半端な参照や
引用の仕方が、まるで科学と名がついていれば何でも妄信してしまうタイプの人で
あるかのように筆者を見せてしまっている。
肝心の実践指導に関しても悪くはないとは思うが、プログラムの豊富さやポイントの
分かりやすさ、意識づけのいずれを取っても谷本道哉『
ストレッチ・メソッド』に劣るとの
印象が拭えない。