連載物を集めたものであるため700頁を超える。
日本的世界と西洋的世界の対比を横軸に、伝統と伝承を縦軸に、演出、音楽、絵画、庭園等を素材にして論が展開される。
まず、世界を覆った感のあるヨーロッパ文化(根源的にモノ=有を本質とする)とは、ある時期に展開した一つのローカルであるということ。それは、人も世界もモノに分解し再構成する。
音楽を例にとると五線譜、クラシックの交響楽、人工の極致であるピアノという楽器に象徴される。
対して、日本の伶楽を例に五線譜はない(当然に表現不可能)。指揮者は不要。楽器は機能的ではない(むしろ逆進化している)。人と自然が対立してはいけない(対象的にみない)。
発声についても、純化(モノ化)を嫌う。(歌謡曲は依然として健在である)
絵画、庭園等についても同様述べられている。
著者は日本文化の特徴として「重ね合わせ」という原理を提示されているが、これは極めて重要。禅に通じる。
縦軸の伝統とは原理、伝承とは単なる外形。芭蕉の不易と流行にあたる。
原理は言語化が難しく、容易く忘れられ形骸化してしまう。観光地みたいな芸能となる。というようなことが述べられている。書名は古代日本が原理で動いていたという意味である。
開国以来、近代的自我の確立、現代においては自分探しに熱中しているが、本家が懐疑的になりつつある今(特に、経済・金融においては既に破綻が明らかになりつつある)極めて、不思議である。
著者が200頁程度に圧縮して文化論(原理)・文明論(外形)に編集すれば星五つ。