著者は頻繁に中国の現地に足を運び、現代中国のインサイドリポートを週刊誌、雑誌などに連載している人物。中国政府当局要人ともコネクションを持ち、それでいて反日活動家との取材や、日本の政治家との取材も敢行している、異文化交流を地で行っている稀有なジャーナリストの一人。
内容は2005年に勃発した反日デモ・暴動の背景(日本で言われていた分析は主因ではない、主に「民意」があったのではという興味深い分析)、日中交流の齟齬、中国人民を悩ます将来不安や社会不安、尖閣諸島をめぐる両国の言い分と立場とその見方、靖国問題など。本書は各種連載をまとめたものだが、単なる寄せ集めではない。およそ2005年前後の日中間で起こった問題が網羅されているが、そのどれもが複眼的な問題分析、その現実的な解決法の提案(筆者の主張)など、ほどよくまとまっている。
いまだに根強い安易な「親中」「反中」といった単純な立場ではない、地に足をつけた立場からの日中双方への批判は、深い取材と洞察があるだけに強い説得力がある。