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30 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
「芽むしり仔撃ち」を読んで,
By カスタマー
レビュー対象商品: 芽むしり仔撃ち (新潮文庫) (文庫)
感動しました。20世紀日本文学から5作品揚げろと言われれば、入ると思います。まさに新たな才能の登場と云う感じがしました、と言ってももう40年以上前の作品ですが。戦前の作家ばかり読んできたので新鮮な驚きを禁じ得ません。ここでは『戦時』が舞台として処理されています。其処でしか描き出せない人間の醜さ惨さ、そして1人の少年の叫びの尊厳。私たちの生きて行く現在が人間の本質という点で決して『戦時下』と変わらないということに思い到らせられ愕然とさせられるとともに、大江氏に賞賛のエールを送りたくなる作品です。
21 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
芽むしり仔撃ち,
By カスタマー
レビュー対象商品: 芽むしり仔撃ち (新潮文庫) (文庫)
戦争の中で厄介ものにされ山村に追放された少年たち、その村に疫病がはびこり村人たちは避難する。取り残された少年たち、朝鮮人部落の少年、予科練の脱走兵、これら社会の余計者たちが、人間の存在のミニマムの場所で共感しあい、団結し掟をつくり、独立社会を築く。そこには英雄がうまれ、献身と友情と愛が育つ。しかし作者はこの神話の世界を永続させない。だが崩壊することによって、神話は神話としての美しさをいよいよ輝やかすことができる。
17 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
tears for lovers,
By
レビュー対象商品: 芽むしり仔撃ち (新潮文庫) (文庫)
ノーベル文学賞だとか、大江だとか、そういうものではない。
1センチにも満たないこの文庫本だが、非常に重厚かつ濃厚な味わいを内包している。 言葉の端々に現れる大江ならではの節回し。 情景あろうと感情だろうと五感だろうと一気に叩き込んでくる濃密な筆致。 めまいすら覚えるほど、甘美である。 感化院の少年たちがとある山村に取り残される。 唯一の抜け道は閉鎖され、山村では疫病が蔓延していることがわかる。 それでもそこは、少年たちにとってはじめて手に入れた「自由」を孕む王国であった。 「自由」を体いっぱい体感してゆくサマは、戦争小説である本作をみずみずしいジュヴナイルにさえ仕上げている。 大江の、一般に読みにくく難解とされ敬遠されがちな文章ではあるが、分量的に少なく、近作とことなり、処女長編であるがゆえエネルギッシュであるし、比較的読みやすくなっている。 この本を手始めに、エンターテインメントとしての小説=娯楽のみでなく、文学としての小説=芸術という世界を垣間見てはいかがだろうか。
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