掲載順に、アンドレ・ドラン、ブルームズベリー・グループ、フランティシェク・ビーレク、ギュスターヴ・ド・スメット、アルフォンス・ミュシャ、ルネ・マグリット、ローザ・ボヌール、ギュスターヴ・モロー、ウィリアム・モリス、ガブリエーレ・ミュンター、ジェームズ・アンソール、クロード・モネ、アルフレート・クビーン、ジョルジョ・デ・キリコの14人の画家の家や部屋の中を観賞できるというこれまであまり試みられてこなかった切り口が新鮮でした。
例えば72ページ以降のルネ・マグリットの室内は、彼の作品に登場するアイテムや室内を描いた作品そのもので、画家の関心がこの内部にあったことを如実に感じました。84ページのチューバ、暖炉、銃、電話機などの小物の風景がすでにマグリットの非日常的光景を作り出しているようでした。シュルレアリスムの作品群は彼の日常から生まれでていたのでした。
クロード・モネが浮世絵の蒐集家であり、生活の中で浮世絵が飾られているのは類書でも見知っていますが、本書の149ページ155ページにかけての室内写真を見ればそれが一層理解できると思います。睡蓮の連作で有名なジヴェルニーの日本庭園の写真と作品の両方を掲げることで「芸術の実験室である庭園と池」への傾倒ぶりが伺えるでしょう。
ウィリアム・モリスの家と室内は彼の提唱した知的な装飾芸術を具現化したもので、美意識が家具や壁紙、調度品の隅々まで行き届いています。これは必見です。ジェームズ・アンソールの部屋は彼の作品の複製やモティーフで飾られており、それ自体が芸術作品と化していました。本書の真骨頂とも言える室内でした。