ここでの中沢氏の話は非常に面白い、いや彼の話はいつも本当に面白い。
しかし読後なるほど色々なエピソードは面白かった、それで最終的には何が言いたいのだとなると話は別だ。
本書は講演録を中心にまとめた本で確かにある程度読みやすい、しかしいつもの事ながら読者には「ほぉ〜なるほど」で終わってしまう本でもある。
いささか言葉は厳しいが、中沢氏の言説はいつも易きに終わってはいないだろうか?
「対称性人類学」「芸術人類学」という大風呂敷を広げたのはいいが、それは果たして「学」なのだろうかという疑問が残る。
中沢氏が「学」のフィールドで何かを究めようとしたことなど今まで無かったし、これからも極めてあやしいと言えば言い過ぎだろうか。
私のこういった意見は中沢ファンにとってはかなりの少数派であることはもちろん自覚している。
芸術人類学研究所という機関まで設けているのだから、是非ともそれに相応しい活動を期待したいと思う。