なぜ芸術は我々を魅了するのか??
その問いに美学ではなく哲学をもって答える、というのが本書の趣旨。
文章は、丁寧すぎるかもしれないぐらい丁寧。
著者ができる限り読者が読みやすいように心がけて書かれたものであることは疑いようが無いだろう。
ただ、完全な哲学の初心者が読んで理解できるとも思えないので、西洋の哲学(特にドイツ)にある程度慣れ親しんでおかないと少々読むのは辛いかもしれない(著者の書き方も、読者のある程度の哲学の知識を前提としている)。
しかし、それでも喰らいついて読んでいく価値が本書には間違いなくある。
美学ではなく、哲学の立場からのここまでまとまった芸術論(しかもこれは日本人が書いたのだ)はなかなか無いと思われるので、文庫版であることもあり、自信を持って多くの人に読むことを薦められる本である。