デビュー作を含む中編3本が収められてます.まず放り込まれた遊びネタが凄まじい.ランボオ、ボードレール、チェスタトン、ルイスキャロル、マザーグース、ヴィアン、ボルヘス、ジョイス、カー、アシモフ、クラーク、ハインライン、CLムーア、EEスミス、パゾリーニ、ゴダール、ムルナウ、スタンバーグ、エルンスト、トロツキー、ギリシャ神話の数々、萩尾望都、木原敏江、宮沢賢治、日本共産党、「プリズナーNo.6」、「リングにかけろ」、清涼飲料水の商標、、、等々とてもじゃないが全部は拾えません.それらを紡いで織り上げる文章は語彙豊富で流麗・華麗(ちょっと取っ付きにくい感じはありますが).人間と神との接点、贖罪と救済、夢と死、国家の原罪、等々の主題が深く考察されていながら、それらすべてが冗談だよと作者は言っているようでもあります.3本とも好きですが、私は特に「目狩都市」が好きで、なかでも「雨はまるで追憶のように強くだしぬけに街をぬらした」からの一章は何度も繰り返し楽しみました.これらを20代でものにした野阿梓さんは真に「恐るべき作家」だと思ってます.