昨今のゲームには、明るさや爽快感ではなく、暗い鬱な気分を娯楽として提供する鬱ゲー(憂鬱な気分にさせられるゲーム)なるものがある。
暗いイメージの本作も、この鬱ゲーにカテゴリされると思われる。
暗さも、売り方によっては娯楽に成り得る。しかし本作は、楽しませることを目的としたエンターテイメントとはいいがたい。
理由は、話そのものが崩壊しているためだ。
前半は比較的物語が成立しているのだが、通常盛り上がるはずの後半になるにつれ、展開や描写の雑さ加減が顕著になっていく。
第三者が読むことを想定して作られているとは思えない、ただ言わせたい言葉だけを並べたかのようなテキストが続き、登場人物たちはそれぞれ強い主張を持っているにもかかわらず、三行後には、まったく正反対な意味合いのセリフを吐きはじめる。
作者の視点では全て納得のいく展開なのかもしれないが、予備知識のない購入者でも理解できる描写をするのがプロの仕事だろう。
また、物語上、戦闘シーンが多く盛り込まれているが、こちらも描写力不足で迫力がなく、動きのないエフェクトで爽快感は皆無の状態。
救えない、暗い展開で終わることが多い鬱ゲーでも、達成感や深い余韻をもたらしてくれることがある。
しかし残念ながら本作は、ゲームクリア後のカタルシスがなく、着地地点が示されないままに終わる物語を前に放り出されたユーザーは、ただ呆然とするしかないのである。
すきな声の声優がいて、そのひとのセリフならどんなものでも聞いてみたい、という人以外は、勧められない作品。