作者の父福永武彦は,毎日出版文化賞を本業の小説ではなく評論 ゴーギャンの世界 で受けたが,息子の方はめでたくこの作品で受けた.そこで福永のファンとして,読んでみた.兄と妹が二人称と一人称で交互に現れ,この世のこととも思えない不思議な話をする.兄は画家だが,ヘロイン所持のかどで Bali で逮捕され,裁判で死刑になる可能性がある.妹は Paris で旅行業者をしているが,兄を助けようと東京経由で Bali に行く.妹はこの島で奇妙な解脱体験をする.すると柳田國男の 妹の力 そのままに,事態は突然好転してしまう奇想天外な結果になって,めでたく収まる,と言う話.Bali の描写がまた美しく,読んでいて楽しい.私は村上春樹が苦手で読んで判った試しがないのだがこの作者の物は幸いにして判るような気がして嬉しい.もしかすると, 作者が物理出身で基本的な所で論理が通っているためか ?