・全体像
人生は空しくてはかない。我々はこの感情を無常観と呼ぶ。
【竹内整一】
東京大学文学部教授。専攻は倫理学・日本思想史。
無常の思想を語学、哲学、芸術、宗教などから紐解き、日本人独自の
死生観とその背景にある精神の核心に迫った一冊。
東京大学竹内教授の「最終講義」全記録。
・感想
美しい題名につられて手に取った一冊ですが、中身は題名以上に美しかったです。
この本の特徴は言葉の語源を明らかにし、言葉自体を咀嚼しやすくしていることに
あると思います。
たとえば「はかない」これは「はか」が「ない」という意味で、「はか」とは
「イネやカヤをなどを植え、また、刈ろうと予定した範囲や量」。
つまり「はか‐ない」とは「つとめても結果をたしかに手に入れられない」が基本で
転じて「これといった内容がない」「手ごたえがない」「あっけない」という意味になった等。
この他にも「いのち・いたむ・とむらう・しあわせ・めでたし」などの言葉も解きほぐし
詳しい説明が述べられています。語源は学校授業の範疇外なので意外としらないことが多いです。
さらに副題である「おのずから」≠「みずから」の関係も興味深いです。どちらも「自ずから・自ら」
と「自」という漢字を使っていますが意味は全くの別物で「自然の成り行きで(偶然)・作為的、人為的な(意志)」
となります。しかし、全く違うというのは誤りでこの二つの言葉は相対的に微妙なバランスで
保たれているということがおいおい分かります。
語学の観点だけではなく、宗教(とくに仏教)や文学者(宮沢賢治・中原中也)、哲学者(西田幾多郎)、
なんと漫画家(鋼の錬金術師・荒川弘)まで多種多様な方々の思想に光を当てながら独自の解釈を続けていきます。
あとがきに到達した時の爽快感といいますか、霧が晴れるような感覚はこの本を読み終えないと味わえないものです。
拙い筆舌では語り尽くせない一冊のなので、ぜひご一読を。
・抜粋文
感想文中に記したため省略。