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花の回廊―流転の海〈第5部〉
 
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花の回廊―流転の海〈第5部〉 [-]

宮本 輝
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社 / 著者からの内容紹介

昭和32年、財産を失った松坂熊吾は、電気も水道も止められた大阪・船津橋のビルで、来る自動車社会を見据えた巨大モータープールの設立に奔走し、妻の房江は小料理屋の下働きで一家を支える。一方、小学生の伸仁は尼崎の貧しいアパートに住み、壮烈な人間ドラマの渦に巻き込まれていく。大河小説の最高峰「流転の海」シリーズ最新作!

内容(「BOOK」データベースより)

昭和32年、再び一文無しとなった松坂熊吾一家に親子三人で暮せる家はなく、小学生の伸仁は尼崎のアパートに住むことになった。その居住者は皆貧しく、本国が南北に分かたれた朝鮮の人々の世帯が半数を占めていた。伸仁はここで壮絶な人間ドラマの渦に巻き込まれていく。一方、熊吾は大規模な駐車場経営に乗り出す。一家に、新たな時代の波が押し寄せる。

登録情報

  • -: 397ページ
  • 出版社: 新潮社 (2007/07)
  • ISBN-10: 4103325143
  • ISBN-13: 978-4103325147
  • 発売日: 2007/07
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.2 x 3.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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57 人中、54人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 待ち遠しかった第5編!, 2007/8/17
By 
辰己 (東京都) - レビューをすべて見る
(トップ100レビュアー)   
レビュー対象商品: 花の回廊―流転の海〈第5部〉
宮本輝の自伝的小説「流転の海」第5編。第4編「天の夜曲」は富山だった。
熊吾もだいぶ丸くなったと思ったら、また新しい事業を始め、失敗の予兆を残しつつ終わった。
案の定翌年の昭和32年、再び松坂熊吾一家は一文無しとなる。
10歳の伸仁(宮本輝)は尼崎のアパートに移る。周囲は貧しい朝鮮人が多かった。伸仁は戸惑い、ここでもさまざまなことを学んでいく。

実は実生活では、この頃かそのあとぐらいに、伸仁の母は創価学会に入会し、伸仁(宮本輝)はそれに激しく反抗したという。
しかし結局父熊吾が死に、宮本輝も熱心な学会員になる。
宮本自身、「私は創価学会思想を広めたくて作家になった」とまで言っている。

実際、彼の文学には「警句」がちりばめられている。「天の夜曲」などは、
父と子の会話の中に、読んでいて「なるほどなあ」とうなる言葉がたくさんあった。
「男は自分の自尊心よりも大切なものを大切なものを持って生きにゃあいけん」――とか。

誰かが、宮本輝の小説は「学会思想のプロパガンダだ」と言った。
確かにその通りだと思う。しかしそれでもいいのではないか。
私は創価学会は、正直嫌いだが、単純に教義だけを読むと、それなりに「良いこと」を言っている。
政治団体「公明党」とつながっていることがコトをややこしくしているのだ。

宗教色の強い小説がすべてNGなら、欧米の古典などはほとんど駄目と言うことになる。
思想色の強い小説が駄目なら、小林多喜二なども駄目になる。
文学は、読み手が冷静であれば「オルグ」はされないと思う。

それはともかく本書である。
第五編。自分たち以上に貧しい者、底辺にいる者への人としての接し方を伸仁は学ぶ。
やはりここでも警句はちりばめられる。

それにしてもこのライフワーク的長編は、いつ終わるのだろう。10編ぐらいまで続きそうな勢いだ。
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24 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 小説に思想はつきものでしょ?, 2007/10/28
レビュー対象商品: 花の回廊―流転の海〈第5部〉
あとがきを読んで、驚きました。
このシリーズを執筆して、もう25年になるんですね。

学会云々と評されることについて一言。
私は関係者ではありませんが、
仮に、小説がプロパガンダであったとしても、
そこを非難することに疑問を感じます。
いつの時代も、思想が加わってこそ、小説は深みを増すのです。

ケータイ小説に代表されるような、薄い内容より、
思想が詰まった小説を大切に読んでいきたいですね。
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10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 宮本輝の作り方, 2010/3/14
『流転の海』も、やっと五部まできましたか・・・。
連載開始からもう、二十五年です。
宮本さんの分身である伸仁も五年生から六年生になります。
その間の一年程のお話です。
舞台は富山から、兵庫県・尼崎の蘭月ビルというおんぼろアパートに移ります。
このアパートには主に朝鮮のひとが住んでおり、どの人も強烈な個性をもっていて魅力的です。
そこでお好み焼き屋を営む熊吾の妹・タネに伸仁はあずけられます。

一方、熊吾は大阪で巨大モータープールを作るため奔走します。
この人のバイタリティはあいかわらず凄まじいですね。
そして恐るべき洞察力。
戦後の朝鮮人の祖国への帰還問題も熊吾の目を通してみると、
すっきり理解できます。
人間観察の目もいつもながら鋭い。
彼の言葉だけ集めて、一冊のアフォリズム集ができそうに思われるぐらいです。
彼のエピソードはどれも面白いですが、特にヤカンのホンギとのものが印象に残りました。
茶道に精通した在日朝鮮人である彼との「侘数寄者」と「茶の湯者」に関するやりとりが特に興味深いです。
 
また、伸仁が蘭月ビルの住人と過ごすなかで、たくましく成長していく過程を読むと、作家「宮本輝」のルーツが分るようで面白い。
もちろん、伸仁=宮本輝ではないですが、そのように読んでしまいます。
この小説の中で起こることのどれが「事実」でどれが「虚構」かについては、「言わない方がいい」とあとがきで宮本さんは語っています。
その辺を想像するのも、この小説の大きな魅力です。

熊吾と海老原太一とのあいだに繰り広げられるエピソードが、六部へ続く橋のように架かっています。
早く六部が読みたいものです。
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