これが「あの」ジャン・ジュネの処女作だとは、私にも信じがたかった。それくらい優れた小説なのだ。獄中で書いたというらしいのだが、そこら辺の通俗文士ですら「荷物まとめて夜逃げする」くらい「素晴らしすぎる」。
もしジュネが生きていたら来年で100歳になっている。それは置いておいて、「同性愛小説」はフランスにおいては必ずしもタブーではなかった。が、ここまで綿密に物語を紡ぐやりかたにはただただ脱帽するほかない。タブーであろうがなかろうが。
☆は5つだが、「ブレストの乱暴者」「泥棒日記」に比べると完成度は高くないかもしれない。しかしどこからどう読んでも素敵な小説なので、文句なしの5点。
もちろん、初めてジュネを読む方にも本作はお勧め。これを好きになったら、廉価で出回っている「葬儀」などを読んでみてください。気がつけば、ジュネの世界に浸っていることでしょう。