その昔、幼き日の花乃は、神のように思っていた少年をただひたすら守ろうと決めていた。
神様は恋愛なんかしない、もし誰かと寄り添うというのなら、それが相応しい女性であってほしいとどこかで願いながら。
しかし、今は彼大が神ではなく人間である事も、その願いが単にエゴである事も理解している。
受けいれたくないという本心と受けいれるべきだという自制心の間でゆれる花乃の心がせつない。
そして雛を、そしてひいては自分を許せない陽大と、彼を呪縛から解き放ちたいと思いつつも、自分にはそれが無理だと理解している雛。両者の気持ちどちらもわかるがゆえに身動きが取れない花乃。
何も知らない強味で彼の懐に素直に飛び込んでいく楼良。
それぞれの思惑が複雑に絡みあう今巻だが、印象的だったのは楼良の「運命の人」論。
花乃にとっても雛にとっても楼良にとっても、陽大は「運命の人」であるように、陽大にとっても三人はそれぞれが大事なキーパーソンなのではないか。「運命の出会い」とは必ずしも恋愛としてだけの意味を持つのでなく、自分を、人生を変える出会い全てを指すのではないか。
それにしても、終盤の陽大の衝撃の告白やお持ち帰りを見せておいて、ここで第1部完とは…。