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芭蕉 おくのほそ道―付・曾良旅日記、奥細道菅菰抄 (岩波文庫)
 
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芭蕉 おくのほそ道―付・曾良旅日記、奥細道菅菰抄 (岩波文庫) [文庫]

松尾 芭蕉 , 萩原 恭男
5つ星のうち 4.9  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

人生を「旅」と観じ、自己の生活をそのまま芸術と化した「風狂」の姿。紀行文の形をとりながら芭蕉はこの一書に自らの俳諧の到達点を示そうとしたのであろう。美しく味わい深い文章、構成の巧み、磨き抜かれた芸術精神、それらが生み出した「幻術」の世界がここにはある。旅の実録『曾良旅日記』、秀れた古注釈書『奥細道菅菰抄』を併収。

登録情報

  • 文庫: 290ページ
  • 出版社: 岩波書店 (1979/01)
  • ISBN-10: 4003020626
  • ISBN-13: 978-4003020623
  • 発売日: 1979/01
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.9  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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By dvrm トップ100レビュアー
 この岩波文庫は、松尾芭蕉の代表作の「おくのほそ道」の全文のあとに、その旅に同行した曾良による旅日記と俳諧書留・江戸時代の芭蕉研究家の蓑笠庵梨一による注釈書「奥細道菅菰抄」・芭蕉宿泊地及び天候一覧・おくのほそ道行程図・主要引用書目一覧・発句索引、地名及び人名索引・解説と、本文が七十ページほどなのに比べ、その後に二百ページを超える付録のついた構成になっている。もちろん主役はおくのほそ道本文で、付録を読むことで本文のよさや松尾芭蕉の創意が改めて見えてくる、という効果がある。

 本文を読んでいくとすぐに気づくのは文章の流れていく心地よさで、言い過ぎたり言わな過ぎたりすることがなく、和歌の詞書や歌物語の形式をさらに滑らかにして具体的にしながら文の余韻も残しているのが心憎い。蕉風の俳句というもの自身がそんな風情を持っているというのは文学史の著作で読んだことだが、実際に読んでいくとそれが体の感覚でも感じられるようだ。情報としての文章には全くない気持ちよさがあって、こういうのを文芸というのだろう。

 内容についてみるとそれは東北の歌枕を巡るという趣向で、古人が立てた表象世界を芭蕉自身が受け取って自らの視点から世界を再制作するという試みが、さまざまな文章を彫琢する努力を続けていたという芭蕉の筆によって最初から最後まで貫かれている。人の生きることのはかなさ・いじましさ、自然の強さと変わらなさ、生きることへの執着と死への畏れ、そんな世界への愛しさ、その文と俳句は短い言葉で読む者を広くて静かな境地へと連れて行く。それは明らかに文芸的創作物で、この作品に対して、当時の真実の東北の姿を捉えていないという批判は、真実とは何かをおくにしてもある意味もっともだと思う。しかしたった今生きている自分たちであっても幾分は自分の見方で世界像を作り上げているのが実際のところで、その世界像のせめぎあいで暮らしが進んでいくのであってみれば、文芸もそのせめぎあいの毎日の中で自らの世界像を示すのは自然のことなのだと思うし、ここで描かれている世界像、その方法としての紀行文及び俳句は相当の深さのあるものだと思う。付録を読むにつけ、一見散文的な旅の中から詩情を濃厚に立ち上らせるさまがしのばれてくる。

 一度は通して読んでみるといいのではと思う。

 
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17 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
「奥の細道」は、大抵の人が高等学校で、古文の教科書中の一節として読まされる物の一つです。然も全篇では無く、ほんの一節でしかない、投稿者もそうでした。

書いてある内容は分かるのですが、字面だけ分かったとしても、それは鑑賞したとは到底言える物ではない。「奥の細道」の様な、一見、分かり易く見える紀行文でも、果たして16・17歳で鑑賞などできる物でしょうか?投稿者が16の高校二年の時、それを授業のなかで習った訳ですが、50歳を過ぎて読む感動は、其処には有りませんでした。当時の高校生としては、16歳の生意気盛りで、ボードレールやランボー、などの無頼の詩やヘッセ、ホフマンスタールの様な詩には感激しても、日本の古典としての「奥の細道」は、日常の感性からは異質なものであった。

そして、出だしの漂泊をを詠った、「月日は百代の過客にして行きかふ年も又旅人也…古人も多く旅に死せるあり…予も片雲の風にさそわれて漂泊の思いやまず」、等の、何か思いつめた、心持は不思議だったのです。芭蕉の心には何があったのでしょうか?そこには、西行のイメージもあった事でしょう。年老いた芭蕉の心境は理解すべくも無かった。有り体に言えば、涙もろくて、えらく、感傷的な男だな!位にしか感じなかったのです。

若い高校生は、「人生の有時と死」という事を知らなかった。芭蕉は死を覚悟して出かけ、一期一会に生きていたのです。移ろい易い、この、いのち有る時の稀有の価値を悟るのが俳諧の精神であろうか? そんな事をも思いも付かぬ高校生に芭蕉の心持が理解出来る筈がありません。どの様な偉大な古典作品も、それは読める為の条件が存在するのです。特に、この紀行文では著者の精神の在り所、心の背景が大切です。

まして、現代のような、全般的に、日本人の精神の幼稚さが顕著になり、心のゆったりとした広さや、自然に対する真の畏れや、それに伴う深い情緒が衰退した時期には、芭蕉の享年に近い年齢にならないと、その心持は共感が困難かも知れません。芭蕉の時代の方が、人間は遥かに精神的成熟が早かった様に思います、人生の短さは、人々が生きる時間の密度を高め、且つ、生きて行く為の厳しさに溢れていた時代であった。多くの芭蕉論が出ていますが、江戸時代を初め、現代に至る日本文化の様々な源泉となった「室町時代の精神」を解き明かす旅も面白いものでしょう。
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芭蕉の紀行文を本格的に読みかえすのは20数年ぶりかもしれない。

当時は芭蕉の俳文の厳しさ、簡潔さ、レトリックの見事さに目がくらんでいたようで、久しぶりに読み返すと随分手ごわい感じを受ける。

もっと楽しく読めた印象があったが、今はそう易々と読める文章でないことが分かる。

たぶん、和漢混交文のひとつとして芭蕉の紀行文を読んでいた節があり、同じスタンスで論語や荘子を読んだり、平家物語や義経記や方丈記を読んだりしていたのだろう。

鴎外の口語文だって、いま読み返してみると実に厳しい文章で、若い自分は何でこんな難しい文章を好んで読んでいたのか、自分でさえ理解に苦しんでしまうのだ。

話はだいぶそれたが、芭蕉の文章はやはりよい。時々、読解に自信が無くて、口語訳を参照したりするのだが、口語訳されてしまうとたちまち芭蕉の俳文の荘厳な趣きが霧散してしまって味も素っ気も無くなってしまう。

やはり芭蕉の紀行文・俳文は原文で読まないとその俳味は味わえないものなのである。

20年前は旧古典体系本の『芭蕉文集』で読みふけったが『曽良旅日記』『奥細道菅菰抄』は収録されていなかった。
この二編も、なかなか味わい深い文語文だから、芭蕉の俳文とあわせて堪能したい。
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