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芭蕉―「かるみ」の境地へ (中公新書)
 
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芭蕉―「かるみ」の境地へ (中公新書) [新書]

田中 善信
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

古典文学の名作に数えられている『おくのほそ道』だが、芭蕉にとって紀行文を書くことは趣味であり、修練の一つであったにすぎない。芭蕉は、「俗」を対象とする俳諧を、和歌や連歌と同等の文学に高めることに苦心したが、生前それが叶うことはなかった。本書は俳諧師の名乗りをあげた『貝おほひ』以降の作品を丹念に読みながらその足跡を追い、「俳聖」としてではなく、江戸を生きた一人の人間としての実像を描く。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

田中 善信
1940(昭和15)年、石川県の能登半島に生まれる。早稲田大学第一文学部卒、同大学院文学研究科修士課程修了。早稲田大学図書館、高知女子大学、文部省、武蔵野女子大学(現・武蔵野大学)を経て、91年より白百合女子大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 325ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2010/03)
  • ISBN-10: 4121020480
  • ISBN-13: 978-4121020482
  • 発売日: 2010/03
  • 商品の寸法: 17.2 x 11 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
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丁寧な良書 2011/8/15
形式:新書|Amazonが確認した購入
芭蕉の入門書は数多いが、芭蕉の伝記的紹介として本書は非常に良くできている。
派手さはないが、淡々と芭蕉の人生を(その俳風の変遷と共に)追っていて好感がもてる。

冒頭のプロローグ(俳諧とは何か)なども、分量にしてわずか20頁ほどの文章であるが、簡にして要を得た初期俳諧史の概説になっている。

芭蕉の人生を概観する上で本書が重視するのは、(研究者の間ではもはや常識なのかもしれないが)仏頂和尚との出会いである。
仏頂和尚は臨済宗の僧侶で、鹿島にある根本寺の住職だった。彼は、鹿島神宮と根本寺の訴訟問題で江戸に滞在していた時期があった。

長く見積もっても2年に満たない交流ではあるが、この仏頂との出会いによって芭蕉は「禅」に触発され、また『荘子』のような教典に深く傾倒するようになったという。
この経験を経て、芭蕉はいわゆる「蕉風」を確立していくことになるのだ。

禅宗においては、詩文によって自身の「悟りの境地」を示したり、あるいは詩文そのものを「悟り」を得るための修行の場とみなす、ということがある。
芭蕉の俳諧に対する態度も、確かにこれと似たものがあるように思える。彼には、俳諧を通じて到達したいある「境地」があったのだ。
もちろんそれは「仏の教え」ではなくて、「誠」や「造化」といった「この世界の本質、本来のあり方」であったり、また西行や宗祇ら先人の到達した詩的世界だったのだが。

また、芭蕉は俳諧の理念として「わび」や「かるみ」といった語を用いていたが、それは「面白おかしさ」を本質とする当時の俳諧の通念とは明らかに異質なものだった(俳諧は本来「誹諧連歌」と呼ばれ、誹諧とは「滑稽」という意味だ)。
いってみれば、「ことばの遊戯」にすぎなかった俳諧というジャンルに、禅的な「奥行き」を持ち込み、芸術化したのが芭蕉なのである。

ある意味では「詩歌の歴史をねじ曲げてしまった」ともいえるが、その問題についてはここで論じるべきではないだろう。
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