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芥川賞を取らなかった名作たち (朝日新書)
 
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芥川賞を取らなかった名作たち (朝日新書) (新書)

佐伯 一麦 (著)
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商品の説明

内容紹介

太宰治、吉村昭、島田雅彦、干刈あがた……彼らはなぜ芥川賞を取れなかったのか。「私小説を生きる作家」として、良質な文学を世に問い続ける著者が、当時の選評を振り返りつつ、敬愛する名作たちの魅力を語りつくす。芥川賞落選史にみる、もうひとつの文学史。


内容(「BOOK」データベースより)

第一回芥川賞選評で、「生活の乱れ」を指摘された太宰治。受賞の連絡を受け、到着した会場で落選を知らされた吉村昭。実名モデル小説を「興味本位で不純」と評された萩原葉子…。「私小説を生きる作家」として良質な文学を世に問い続ける著者が、芥川賞を逃した名作について、その魅力を解き明かす。

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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 興味本位ではなく、「落選」した作品への深い洞察が感じられる, 2009/2/18
By 辰巳 (東京都区内) - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
芥川賞・直木賞に関しては、とくに近年は出版社との関係もあり
選考も不透明だ。
本書はそういったことを興味本位、ジャーナリスティックに取り上げるのではなく
あくまで「落選した事実」を前面に出し、
なぜ落選したかを解説。しかし声高になるわけではない。
受賞したかどうかに関係なく「良いものは良い」というスタンスで、
受賞しなかった作品の良さを取り上げていく。
太宰治から干刈あがたまで11人、11作品。

佐伯氏自身も候補になりながら、受賞はしていない。
しかし地味だが素晴らし作品を送り出している。
あえて最近の作品(とくに佐伯氏が候補になった前後)を取り上げなかったのは、
表現者としての佐伯氏のプライドでもあり、ある種の配慮だろう。

本文はわかりやすい、語りかけるような「ですます調」。
難解な表現もなく著者の誠実さも感じられる。
佐伯氏ならではの一冊かもしれない。

巻末の「芥川賞候補一覧」。とくにコメントもない一覧表だが、
受賞した作家もそれまで何回も候補作になっていたり……ということがわかり
文壇史の一部を見る思いだった。

できれば誰か、「直木賞編」を出していただきたい。
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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 愛なくして作品を読む価値なし?, 2009/1/28
世評に関係なく自分だけのマイナー・ポエットを見つけてください、とういのが本書の肝。

仙台出身・在住の著者が地元で行ってきた読書会の記録を基にしたもので、編集者の人や生徒とのやりとりなどもあり、小難しい文章はなく読みやすい。
簡単なあらすじの説明や短い引用もしてくれるので、別に個々の作品を読んでいる必要もない。
基本的に作家ごとに章が分かれているので、気に入ったところを気に入ったときに読めばいい。

「芥川賞を取らんかったけど名作、ってほんまかいな?」という全くの門外漢が冷やかしに読んでもいいし、芥川賞は短編が多いので、気になる作品があったら近くの図書館に行けば大抵あるし、すぐに読める。

例年と比較すれば受賞レベルには完全に到達していても今日では考えられないような稀に見る激戦区で候補に挙がったり、最終決戦でも三すくみになり「該当作なし」の憂き目に会ったり、選考委員の見る目がなかったという事態だけではなく、やはり運、不運もあるものだなと思わされた。
(本書で取り上げられた中で芥川賞を受賞しなかったことで最もその後の人生が変わったと思われるのは故・吉村昭氏だろうか)

巻末の島田雅彦氏との短い対談でも触れられるが、「貶すのは簡単」というように、確かに本書で取り上げられた作品も素人目に見ても御都合主義の側面や冗長過ぎる嫌いがあったりするが、それを補ってあまりある魅力のある作品ばかりである。

欠点ではなく長所を!というのは対象に対して愛情がなければ無理だし、愛情をもつと美点も見えるがやはり瑕疵が大きすぎるので駄作だ、というケースも多いだろう。
人間と同じで難しいですな・・・

ここ十数年の作品は全く取り上げられていない。
そのあたりに佐伯氏の矜持が感じられる。

願わくば佐伯氏自身は5,60年後のマイナー・ポエットではなく、もう少しメジャーであればいいのになあという思いである。

なお、巻末に第139回(2008年上半期)までの候補作一覧があり、本書で取り上げられた以外で著者おすすめの「芥川賞を取らなかった名作たち」に印がつけられている。
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 落選した名作に照射する著者のまなざし, 2009/1/31
 文学は社会状況を映し、「文学賞の選考はスカウトであり、福祉だ」とも言われる。
候補作で終った作品・作者について、世に周知のものもあるが、その秘話・裏話が本書で明らかにされたものもかなり含まれている。悲運の名作を照射する著者のまなざしがいい。
 太宰治「逆行」…才能の可能性は認められたが、「作者目下の生活に厭な雲ありて」と生活の乱れを指摘された。
 小沼丹「村のエトランジェ」疎開体験を小説化したもの。以降3回候補になるが、肝心の人間が描けていないということで、いずれも受賞を逃す。
山川方夫「海岸公園」肌理の細かい描写に欠けるなどを指摘されるが、著者は自己省察の文章を評価している。
 吉村昭「透明標本」…特異な題材・腐乱死体を扱い、独自の世界を描いているが、気持ちのいい作品ではないと嫌われる。4回候補になるが、4回落選。遺稿は「死顔」死ぬまで現役だつた。
 埋もれている作品・作者を再発見するのも、大切な後世のつとめのように感じられる。
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