『アメリカの鱒釣り』の作者の短編集である。1編が3〜4ページだから掌編小説といった方がよいのかも知れない。
これは、とんでもない小説である。しかし傑作である――と、認めない人もいるだろうが、やはり傑作である。とても、日本人には、あるいは、日本にいては書けないであろう。
アメリカには、一度も行ったことはないが、この本を通してアメリカの一端が解ったような気がする。
【戦争に破れた国の国旗みたいな、ぶかぶかのずた袋のような服が彼のからだを包んでいて、この男が受けとる郵便物はいつも勘定書ばかりだ、という印象だった。】
このように、形容が実に巧みだ。(森茉莉も形容が巧みだけれど…)
62編の作品のなかでは、「装甲車」がもっともおもしろい。装甲車に乗って新聞を配達する少年の話である。その、最後の1行は謎だ。
この「装甲車」(P.178〜P.181)だけを立ち読みすることはできる。しかし、本は買って読んでね。