天気を正確に予報するには上空の高いところの気象を観測する以外にないと、民間人の野中到が厳冬の富士山頂での観測に挑みます。
まさに明治のプロジェクトX。
富士山は当時冬に登山する人は皆無でした。
想像を絶する自然の猛威に立ち向かおうとする夫の執念を支える妻・千代子の物語です。
当時の女性は「耐え忍ぶ」ことを美徳とし「夫に逆らう」ことなど許されませんでした。
しかし、千代子は極寒の環境で一日2時間おきに12回気象観測をするなど正気の沙汰ではないと危惧し、夫の後を追います。
男でも冬の富士登山は危険なのに、足腰を鍛え、またひそかに気象データの取り方を学びました。
また、女性は今のような下着もなかった時代。外国の史料を参考に試行錯誤で用意します。
そして、とうとう父母、義父母の反対を押し切って登山します。
荒れ狂う富士の猛威のなか、命がけで夫の命を支えゆく妻の愛と献身に感銘を受けました。
これが実際に存在した人であることに感銘を受けます。
また、残された家族や見守る人々の絆や愛情もすばらしい。
平易ながら美しい新田次郎の文体もまたすばらしかったです。
感動の作品でした。