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芋虫  江戸川乱歩ベストセレクション2 (角川ホラー文庫)
 
 

芋虫 江戸川乱歩ベストセレクション2 (角川ホラー文庫) [文庫]

江戸川 乱歩
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

両手両足を失い、話すことも聞くこともできない帰還軍人の夫。時子は一見献身的に支えながら、実は無力な生き物扱いをし楽しんでいた、ある日時子の感情が爆発し……。表題作をはじめ9本収録。

内容(「BOOK」データベースより)

時子の夫は、奇跡的に命が助かった元軍人。両手両足を失い、聞くことも話すこともできず、風呂敷包みから傷痕だらけの顔だけ出したようないでたちだ。外では献身的な妻を演じながら、時子は夫を“無力な生きもの”として扱い、弄んでいた。ある夜、夫を見ているうちに、時子は秘めた暗い感情を爆発させ…。表題作「芋虫」ほか、怪奇趣味と芸術性を極限まで追求したベストセレクション第2弾。

登録情報

  • 文庫: 196ページ
  • 出版社: 角川グループパブリッシング (2008/7/25)
  • ISBN-10: 4041053293
  • ISBN-13: 978-4041053294
  • 発売日: 2008/7/25
  • 商品の寸法: 14.6 x 10.6 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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23 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
『芋虫』を読み終わった時は、しばらくぼんやりしていました。頭を殴られたような衝撃です。本当によかった。

 こんなに短いのに、こんなに胸をえぐる作品も珍しい。

 面白いと単純に言ってしまうよりは、何かが突き刺さったようなと表現する方が正しい気がする。
 夫と妻の微妙な力関係。優越と憐憫。愛憎入り混じる感情。
 思わず背筋がぞくりとする「情」というかなんというか。

 とにかく、まともな小説じゃない。(もちろん、好い意味で)
 どくどくと脈打つドロドロした人間同士のぶつかり合いを思いきり見せつけられた。
 間違いなく、素晴らしい作品だと思う。
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13 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
江戸川乱歩の短編小説集。
その一話目に掲載されているのが、この「芋虫」という小説である。

表紙絵から想像出来るように、四股を失った軍人とその妻の話。
まさに「おどろおどろしい」という表現しか思い付かない。僅か数十ページしか無い小説である。にも関わらず、これほど人間の狂気と世間の冷徹さと、戦争の無常さを同時に味わえる(というより、味わわされる)小説は無いのではないか。まさに脳みそを打ち砕かれたかのような衝撃を覚えた。

特に妻の狂気の描写が圧倒的である。「どうせ架空の話だから」という考えは粉々に吹き飛び、人間の心の奥底にあるどろどろとした真っ黒な光をまざまざと見せ付けられる。恐怖を感じさせながらも好奇心をそそらせる表現が洗練されているため、読み進むうちにいつの間にか世界に引きずり込まれ、自分自身がまさにこの夫婦の絶望と虚しさの淵に立たされてしまう。「目を背けたいけど見ずにはいられない」。そういう表現がぴったりな作品と言えるだろう。

本屋で試しに軽い気持ちで立ち読みしたのだが、読み終えた後は気が滅入ってしまった。クラシックが流れる優雅で明るい店内とは対照的に、自分は真っ暗な井戸の中に佇んでいるような恐怖。そう言った感覚を味わわされる強烈な内容である。

是非とも大人に読んでもらいたい小説である。ホラーとしての完成度は元より、巨匠の緻密で繊細な表現力に圧倒されることだろう。
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3 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
『芋虫』(江戸川乱歩著、角川ホラー文庫)は、戦傷で芋虫のような体になってしまった男と、その貞節な妻の妖しい物語である。

「このような姿になって、どうして命をとり止めることができたかと、当時医学界を騒がせ、新聞が未曾有の奇談として書き立てたとおり、須永廃中尉のからだは、まるで手足のもげた人形みたいに、これ以上毀れようがないほど、無残に、無気味に傷つけられていた。両手両足は、ほとんど根もとから切断され、わずかにふくれ上がった肉塊となって、その痕跡を留めているにすぎないし、その胴体ばかりの化物のような全身」は「まるで、大きな黄色の芋虫であった」。一方、「このごろめっきり脂ぎってきた」30歳の妻は、「自分のどこに、こんないまわしい感情がひそんでいたのかと、あきれ果てて身ぶるいすることがあった」。乱歩の倒錯的な世界を垣間見せてくれる作品である。
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