ぼろぼろの鮮やかなパステルが目をひくこの本は、副題どおり、色材の歴史を豊富なカラー写真・図版をまじえて追っています。
ラスコーの洞窟壁画ほどの太古の昔から近現代に至るまで、人々が画材や染色材料として様々な物質を求め、
製法や調達方法、描画・染色技法に工夫を重ねていったことが紹介されています。現在、カラーペンや絵の具なども豊富にあり、
多様な色の服や布が普通に販売されていて、カラープリンタもある、そんな状況からすると考えられない困難な歴史です。
先史時代、土や岩石からとった顔料で壁画などが描かれ、エジプトでかなり豊かな色彩が発展し、インクも発明されます。
さらに時代が下って、交易によりいろいろな色の材料が輸出入され、中世に入ると新たな材料からより豊かな色が生まれ出します。
染色も発達し、茜で染めた赤に加えて、需要とイメージ的な地位の向上著しかった青の染色がさかんに行われました。
近代に入ると、植物や鉱物由来の色に加えて化学的に合成した染料が開発され、特許が乱立、植民地を交えて各国の競争が激化。
そして今は、あまりに色があふれ(ヒトが認識出来る以上の種類の色を出せる)、「インド藍」などの異国情緒も過去のものに。
人々が先史時代以来、岩石や植物などからいかにして求める色を作り出し、どのように加工をしたかが細かく述べられています。
原料や製法の変遷によって、国や地域の産業、力関係が大きく動くのも興味深い点です。
全体として、美術等のことよりも化学の側面に光が当てられています。
食品の着色料についても紹介し、巻末には、当時の色材の作り方などの文献の抜粋、用語集を掲載。