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色の名前というのはごくわずかの例をのぞいて、色固有の名前ではなく、動植物や鉱物資源、水や火といった自然界に存在するものが身にまとう色から名前を借り受けたものです。そこには人間が自然界から色名を押し戴いていた姿が目に浮かびます。ですから私は、自然と人間との関係が緊密で穏やかだった時代の名残のようなものを、色名の豊かさの中に見るのです。
殊に、鴇色(ときいろ)が今や絶滅状態にあるその野鳥の飛ぶときに見せる風切羽の色にちなんだものであり、さらには女性の和服によく用いられる色であったという説明を目にすると、私たち日本人が失ってしまったものの大きさに思いが至ります。
さらに指摘しておきたいのは、おのおのの色の間の微妙な差異を表現したこのような図鑑的書籍を作ることが出来たのも、日本の印刷技術の高さがあったればこそだという点です。15年ほど前にニューヨークで様々な写真集を買い込んで帰ったことがありますが、アメリカの出版社から出されたそれらの書籍すべてにprinted in Japanと書かれていて驚いた覚えがあります。世界が認めるその技術力を日本人はもっと誇ってよいと思います。
日本ならではの感性と技術。これは日本人が持てるものをたっぷりと注ぎ込んだ末に編み上げた本だという思いを強くしました。
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