何となしに手にとって購入した本が、こんなに傑作だったなんて幸運だなあと思います。このお話は、宿題を怠けていたタローが、(私と同様に)何となしに購入した『船乗りクプクプ』という本を読み始める場面から始まります。しかし、この本が他のどの本とも似つかない点は、全ページがたったの四ページだということです。不思議にもその本の世界に入ってしまったタローは、クプクプという主人公になって、航海に出るのです。著者のキタモリオ氏に出会ったり、怠け者の島に辿り着いたり、文明を知る土人に食べられそうになったり・・・。私もタローのようにこの本の中に入れたらなあ、と思ってしまいました。北杜夫氏の柔軟な姿勢や、温かさ、ユーモア、それ以上に大切な読者に訴えるメッセージ。是非、実際にこの本を手にとって実感してほしいです。