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28 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
文句無しの星五つ!,
By カスタマー
レビュー対象商品: 舞踏会へ向かう三人の農夫 (単行本)
とにもかくにも面白い。いまさら一読者がお勧めするまでもないかもしれないが、ぜひ多くの読者に読んでほしい一冊。やがて到来する21世紀には、この20世紀とは一体いかなる時代であったのかを問い直す動きが盛んになるであろう。写真、自動車、そして世界戦争。大量生産、大量消費、無制限の複製……。第一次世界大戦から今日までの時空を、三人の農夫の写真と三つの物語が、結びつける。 難しい理論、簡単な恋愛。何でもありのこの物語は、まさに20世紀そのものである。
6 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
見事な構築美と壮大な思想。,
レビュー対象商品: 舞踏会へ向かう三人の農夫 (単行本)
とにかく、この作品の情報量と複雑に絡み合う人物の相関が歴史を超えて巧みに構成、描写しているテクニックには舌を巻いた。すべてが明晰に記され、不明瞭な点など一切ない。こんなレベルの作品を20代で描き、しかもデビュー作品だというのだから驚かざるを得ない。訳者の柴田氏による後書きでは、アメリカでの出版からそう間を置かず、福武書店(現:ベネッセ)からの刊行が決まっていたのだが、ベネッセは出版事業から撤退し、本作がアメリカで出版されてから15年も経過して初めて日本に上陸した。作品は複雑な層をなしつつも、見事な完成度を達成している。そして-(訳者の力量でもあるとおもうのだが)-リチャード・パワーズの文体は非常に論理的かつ明晰なスタイルだ。ただ、少々難点があるとすれば、-(これはガラテイア2.2のレビューでも記載したのだが)-、作者の博学と語彙のレベルが非常に高度であるため、-(嫌味な言い方だが)-読者を選ぶタイプの作品である事は否めない。そして、20世紀の歴史に関する文章は、著者の透明性が消え、論文のベクトルに傾いて成立しており-(それがこの作品のある意味での難点でもあり同時に個性や魅力でもある)-、例えば日本のお家芸である私小説的リアリズムに接し続けてきた人が、いきなりこの作品を読むのは、相当にしんどい読書になってしまうだろう。しかし、この作品の完成度はそれらを補ってあまるほどのレベルに到達している。そして、再読に値するだけのコアを十二分に持っている。 これだけの作家が10年前にやっと日本に紹介されたのは、残念だと思うと同時にまだ翻訳されていない作品が多々あるため非常に楽しみだ。
14 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
現代小説の最高峰の1つ,
By 野火止林太郎 (大阪府) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 舞踏会へ向かう三人の農夫 (単行本)
翻訳刊行後以来、久々の再読。当時相当話題になったが、レヴューが案外少ないなあ。訳者の柴田元幸が村上春樹に匹敵するある種のカリスマ的人気を誇っていることからすると、本書がその長大さ、文字の詰まり具合から敬遠されているということか?とにかく抜群に面白く、刊措くを能わずの1冊であり、仕事が疎かになるくらいである。 現代小説としての「語り=騙り」の巧みさもさることながら、テーマとしても多彩。特に現代芸術の典型としての写真論を小説内に導入して、なおそれが論文ではなく小説以外の何ものでない。多くの作家がやろうとしてできないでいる超絶的なテクニック! この写真論=小説はベンヤミンの『写真論』より面白い。この部分だけを読んでみても十二分に楽しめるのだ。こうした手法は安部和重の『シンセミア』がその前半部分で敢行し、まずまずの成果をみている程度であって、多くの作家が失敗している。その『シンセミア』にしても、後半では安手のエンタテインメント物語に収束してしまっているが。 パワーズ作品はその後、『ガラテイア』『囚人のジレンマ』が出ているが、是非『ゴールドバグ・ヴァリエーション』を翻訳して欲しい。版元は上質な本作りが光るみすず書房に引き続きお願いしたいものだ。
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