この本には表題作の舞姫の他に普請中、妄想、雁が収録されています。
以下それぞれについて。
舞姫
文体が読みにくいかもしれませんが慣れている方にはなんともないかもしれません。それに短いですし・・・。この文体は当時は「ハイカラでモダン」と言われていたそうですが、今読んでも素敵な文章だなぁとうっとりしました。
家名再興、立身出世を意気込んでベルリンに留学した豊太郎が封建的な官僚機構などなどに縛られた自分に疑問を持ち自我に目覚める。踊り子エリスとの交際を中傷され免官された豊太郎はエリスと幸せな日々を送るが、友人の尽力によって日本での社会復帰の機会を得る。故国への思いや名誉回復の願いとエリスとの愛のジレンマで苦悩するが結局はエリスとそのお腹にいる子を捨て帰国する。
という自我に目覚めてしまった知識人の苦悩と挫折が巧みな筆致で書かれていて感動します!
私はベルリンの街の描写がすごく好きです。
あと帰路の船の中ではどんなこと考えてたんだろう・・・と考え始めるととても切ないです。
普請中
この作品中の大人な会話がすごく素敵で好きです。
雁を読んでいても思うのですが、森さんはかなり女心に鋭いと思います。「なんでそんなところまで見抜いてるんだ!」とびっくり。
本作にでてくる女性はエリスと同じ女性がモデルみたいです。
妄想
…あまり印象に残らなかったのですが、この作品を読むと森さんがいかに冷静に理知的に現実を凝視していたかわかります。
雁
高利貸しめかけとして生きる女性が恋を知り自我に目覚め、己の愛に生きようとするが偶然の出来事に阻まれてしまう。
この作品は大好きです。森さんの鋭い視点にびっくりです。下町の人情や風俗も描かれていて面白いです。
この一冊はおすすめです。楽しめる&勉強になること請負です。それに値段もお手ごろなので…