ついにユキが大役を踊る本部公演の日が来ました。ものすごいイメージ喚起力のせいで、自らのネガティブイメージに翻弄されるユキが、どうやってこの重圧と闘うか。すごい見せ場になっています。
トランス状態、というものがあります。映画に夢中とか、周囲を忘れるほどおしゃべりに熱中するとか、誰にでもあることです。しかし芸術家がトランスになると、それは我々凡人と違って、見る者を巻き込まずにはいない強烈な力を発揮するんです。アーティストのノリが尋常ではないコンサートとか、時々ありますよね。あんな感じ。
バレエにおけるそれがどんなものなのか、この巻ではユキの心理の波を丁寧に描写することによって、トランスの力=舞踏芸術の根源的魅力に迫っていきます。すごいですよ…古今の心理学者が難しい言葉でしか言えないことを、ドラマにしてサラッと見せてくれるんだから。
そして今回も、泣かせる台詞が満載です。山岸作品最大の魅力はネーム。心を打つ、泣かせるネームが次々と出てきます。次の10巻の伏線となるはずの、すごく重要な台詞も。しっかりと9巻を読み込んで、山岸先生のメッセージに気づいてください。そうすれば、私たちはどんな運命にも立ち向かえるはずです。想像を絶する試練でも、耐える勇気を見つけられるはずです。がんばれユキ!(そしてがんばれ俺!泣くな俺!)
このドラマを間近で目撃できるなんて、幸せです。