本書は、宮内庁の料理人として著名な著者が
前作『味』のヒットを受けて記したエッセイ第2弾。
「おいしさ」を論じた前作とはうって変わり
古今東西の珍味、滋養強壮料理についての
やや変化球気味のエッセイが中心的に収録されています。
朝鮮人参や、すっぽん、ヤマイモはもちろん
ヘビ、ネコ、コウモリ、シロアリ、ハチミツ漬けのネズミ
など中にはかなりウッとする描写もあるのですが
そうした文章も、
(戦争時のような)ああした、やむを得ざるイカモノ食いはもうごめんだ。
みんなが腹づつみを打って、
歌を歌いあうという世の中にしたらどうなのであろうか。
―と考えさせる文章でしめくくり、そのバランス感覚に目を見張ります。
また、徳川無声や獅子文六らが昭和天皇を囲んで話をしたときに
その中の一人が虫を食う知人の話をしだしたとか
(←これ自体がかなりシュールな話だと思う)
昭和天皇はウミウシを召し上がったことがある
大正天皇の用に調達したザリガニが突然消えてしまった
―など著者ならではのエピソードや
人口と食料、食べ物の無駄など現代の問題を先取りする指摘もあり、
全体として、とても濃厚な内容になっています。
ゲテモノが好きで仕方がない方はもちろん
美味しいものや食べることが大好きな方に、強くおススメします。