「武」とは何か?
「戈(ほこ)を止めると書いて武」という解釈が一般的だが原義ではない。
「止」の字義は足、もしくは足あとであり、「武」とは戈を持って進むという意味である。
ここに「戈を止める」という倫理的な価値観を持ち込んだのは孔子であり、
以降、東洋の武術は極めて受動的な技の発展を見るにいたった。
武は常に後手に回る。
後手より相手を制するためには、相手の動きに間隙を入れずに対応しなければならない。
究極には、己自身を虚しくし、相手に同化するという所に至る。
なかなか魅力的な東洋哲学に触れられる一冊。
ただし、あくまで太極拳経という漢文の和訳解釈を行ったものであり、
太極拳の動作等の具体的な解説書ではないので注意が必要。
文字が大きく、あまり意味のない写真が随所に挿入されているため、
本文の量が少ないのが唯一の難点。