あの『初恋のきた道』のチャン・イーモウ監督が、『HERO』の前に撮った低予算の名作。
『至福のとき』というタイトルが、果たして若い年齢層にどのくらいインパクトがあるかは疑問だけれど、今ではもう聞き慣れてしまって違和感がない。でも、やっぱりもう少しポピュラーな言葉の方が観る気にはなるとは思うなぁ。英語タイトルと同じ『しあわせのとき』で良いと思うんだけど……『至福』って言葉が親しみがないから。
盲目の少女は、いつ迎えに来てくれるか分からない父親を待ってる。親戚の家で寂しい居候生活をしながら、けなげに信じて待ってる──
その設定だけでも、もう心が痛くなってしまう。
そして、そんな彼女を、ひょんなことから応援するはめになってしまった貧しい労働者たち。自分たちの生活もままならない人間たちが、彼女の夢を壊すまいと一生懸命に世話をやく。嘘がまた嘘を生み、それでも彼女を傷つけられないお人好しな大人たち──
始まってしばらくは、ただの中国映画かと思うんだけれど、彼女の登場と同時に、印象がガラリと変わります。
優しさと、少女のひたむきさに、笑いながら涙が出て来てしまう。
人間ってこんなに優しくなれるんだって、嬉しい気持ちにしてくれる。
勿論、ネタバラしはしません。でも、一つだけ気を付けて下さい。
ラストシーンで、彼女が歩き始めたとき、歩道を叩く杖の音を聞き逃さないように。
主役の彼女、中学生低学年くらいを演じてるけど、実はこの作品のために超減量した女優さんなんですって。スゴい。