自転車交通後進国のわが国で、日々警鐘を打ち鳴らし続ける著者の最新刊である。
第1章こそ、ツーキニストの心得という馴染みの内容で始まるが、第2章では、自転車乗りの誰もが知って守るべき心得を懇切丁寧に解説している。とくに「自転車の通行部分は車道左端である」ことの徹底を強く訴えている。
ここには、日本自動車工業会が「自転車も車道を走る仲間です」という標語を掲げて、自転車の車道左端の順行通行の徹底を要望する内容を含む、先進的な2009年のレポート(「自転車との安全な共存のために〜」)も紹介されている。第3章では、なぜママチャリには発展性がないのか、について特別に一章を設けて詳しく論証している。第4章では、全国の多くの実例(悪例)をあげて、この国の道路行政が自転車交通に対して深い理解も確たる展望もなく、いかに頓珍漢な自転車レーンや自転車道を設置し続けているかを検証している。
このように、現在の自転車環境をめぐる喫緊の課題が、前々著『鉄則』の内容を噛み砕きつつ、初心者にも理解しやすい形で詳述されている。また、自転車乗りになったものの、今さら人には聞けない類のことまで随所に解説があったり、著者の言う「初心者以上マニア未満」向けとはいえ、最終章には著者の長年の夢である自転車旅行の形が語られるなど、前著までにはなかった内容もたくさん盛り込まれており、マニアも十分に満足できると思われる。とくに、日々サドルの上で各方面に「これだけは言っておきたい」と思うことのほとんどが代弁されていることは勿論、「愉しいから自転車に乗るのだ」という、自転車乗りの共通感覚で全編が貫かれていることが、何よりも嬉しい。