「自転車生活」誌上に掲載されたツーリング、レースなどの体験記を再編集したもの。
入浴シーンや水着姿などサービスカットも含め、ほぼ全写真に著者の笑顔。その華にかける編集部の期待がかいま見え、食傷気味になる。フィットネスに一家言ある著者は、東大卒の才媛らしいが、主題は即物的、表面的なことに限られ、深みに欠ける。広い視野の持ち主と見受けられるだけに残念だ。
それでも文体は、軽妙な味があり、読みやすい。コースガイドなど実用情報も忘れられていないし、きれいな写真には、カメラマンの技量が感じられる。そつのない編集により、自転車の魅力あふれる宝石箱のような仕上がりになっていると思う。未研磨の石も多いが、少なくとも、イミテーションは入っていない。
メカやグッズの解説に終始する従来の入門書とは一線を画す反面、輪行やダートランなど初心者が追体験するには敷居が高いところもある。自転車のよさを再確認したい経験者向きか。いずれにせよ、おおらかで楽しい本だ。