2001年に朝日新聞社から出た単行本『銭湯の時間』の改題・文庫化。かなり書き改められているらしい。
著者は「自転車ツーキニスト」として有名になった人物。本書でも、自転車で東京の銭湯巡りをしている。ただし、自転車の役割はごくわずかで、基本的には銭湯に関する本と思った方がいい。
東京に2005年現在で1000軒あまりの銭湯が存在した。けっこうな数だ。しかし、現実には、後継者不足や経営不振により、急速に減り続けている。その「滅び行く文化」を訪ねてまわったのが本書である。
銀座の銭湯、下町の銭湯、古〜い銭湯、近所の銭湯と23ヶ所が取り上げられている。自転車で訪ねていき、建物を観察し、客層を分類し、ゆっくりと湯につかる。なかなか幸せなそうだ。いまの人はあまり銭湯に行かない。行くとしても近所のくらいだろう。知らない世界をのぞきこませてくれる、興味深い本だと思う。
ガイドブックというよりは、気のおけない体験記といったもの。さらりと楽しめた。